パープルが一番やばい!? ブラック企業、ホワイト企業、グレー企業、パープル企業の実態と対策
現代の労働環境は多様化しており、企業によって労働条件や労働環境が大きく異なります。
労働条件が非常に悪く、長時間労働や低賃金、ハラスメントなどが横行するブラック企業。
労働環境や労働条件が良好で、従業員の働きやすさに配慮しているホワイト企業。
労働条件や環境に問題があるものの、ブラック企業ほど悪質ではないグレー企業。
ブラックとホワイトの中間に位置するパープル企業。
今回は、これらそれぞれの企業が取るべき対策について解説します。
これにより、企業と従業員が共に健全な労働環境を築くためのヒントを提供します。
ブラック企業の特徴と対策
ブラック企業は、労働条件が非常に悪く、長時間労働や低賃金、ハラスメントなどが横行する企業です。
厚生労働省においては『ブラック企業』について定義していませんが、一般的な特徴として、
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業や、いじめ・嫌がらせ等のパワーハラスメントが横行する等、企業全体のコンプライアンス意識が低い
- 採用時に合意した以上のシフトを入れる
- 退職を申し出た際に「ノルマ」や「罰金」を理由に辞めさせない
等、上記のように劣悪な環境での労働を強いて改善しない体質を持ち、労働法に違犯するような働き方を強制する企業のことです。
一方で、実は決まった定義はなく、曖昧なイメージで叩かれている場合もあり、安易に『ブラック企業』と決めつけてしまうのは危険でもあります。
・単に労働時間が長い
・休日出勤がある
・希望とは異なる部署に配属された
・上司が厳しい
・仕事の密度が濃い
・福利厚生が未整備
等、上記の働き方は必ずしもブラック企業の特徴とは言えません。
決まった定義もなく、企業によって多様な働き方があり、一概に『ブラック企業』と決めつけるのも難しいため、京都新卒応援ハローワークでは『労働法に違犯するような働き方を強制する企業』が、ブラック企業に当てはまるのではないかと考えています。
従業員の健康や生活の質を守るために、以下の対策が必要です。
• 労働時間の管理: 適正な労働時間を守り、残業を厳格に管理します。
• 公正な給与: 労働の対価として適正な給与を支払います。
• ハラスメント対策: ハラスメント防止のための教育や制度を導入します。
ホワイト企業の特徴と維持方法
ホワイト企業は、労働環境や労働条件が良好で、従業員の働きやすさに配慮しています。
ホワイト企業の特徴
・離職率が低い
・年収が高い
・残業時間が短い
・有給取得率が高い
・採用条件と実態に乖離がない
・従業員の心理的・身体的ケア体制が整っている
・オフィス環境が整っている・綺麗
この良好な環境を維持するための方法は以下の通りです。
• 福利厚生の充実: 健康保険や年金、育児休暇などの福利厚生を整えます。
• 労働者の声を反映: 従業員の意見を積極的に取り入れ、労働環境を改善します。
• キャリア支援: 従業員のスキルアップやキャリア開発を支援します。
グレー企業の特徴と改善策
グレー企業は、労働条件や環境に問題があるものの、ブラック企業ほど悪質ではない企業です。以下の改善策を講じることで、ホワイト企業を目指します。
• 透明性の向上: 労働時間や給与の透明性を確保します。
• コミュニケーションの改善: 上司と部下のコミュニケーションを円滑にし、職場の雰囲気を良好に保ちます。
• 福利厚生の見直し: 基本的な福利厚生を充実させ、従業員の生活をサポートします。
パープル企業の特徴と対策
パープル企業は、ブラックとホワイトの中間に位置する企業で、一部の労働環境は良好であるものの、他の部分では改善が必要です。
【パープル企業の利点(メリット)】
・仕事がきつくない
・職場の居心地が悪くない
・定時退社が基本で残業はあっても少ない
・離職率が低い
【パープル企業の欠点(デメリット)】
・やりがいや学びがない
・ルーティンワークや自社知識のみの業務が多く成長がない
・スキルや実務経験が身につかない
・給料が上がらない
イノベーション論、技術経営論、マーケティング論、モチベーション論等の研究を進めておられる金間大輔氏は、「ゆるブラックを避ける若者の深層心理」(『Voice』2023年7月号)と題した論文で、「会社とは、お金をもらって、その分貢献する存在ではない。与えられた仕事をするのはもちろんだが、その過程を通して、会社や上司は、いかに汎用的な能力やスキルを身につけさせてくれるかが大事になってきている。〈中略〉それらを与えてくれない会社を『ゆるブラック』と呼称する」と述べています。「ゆるブラック」はパープル企業の別称です。
小規模事業者や中小企業が人材確保のため、労働環境をホワイト企業に近づけようとするあまり、パープル企業になる危険性があります。
パープル企業は、社員の労働環境に配慮するあまり、経営側が労働力をカバーすることで疲弊し、「経営」に注力できない可能性や、人が成長しないため、企業自体の成長を止めてしまう可能性があります。
仮に、「汎用的な能力やスキルを身につけさせる」場を提供できたとしても、社員に成長意欲がなければ、結果、パープル企業となってしまいます。
以下の対策を講じることで、全体的な環境を向上させます。
• 労働環境の一貫性: 全ての部署で良好な労働環境を確保するために、労働条件を統一します。
• 評価制度の透明化: 公正な評価制度を導入し、昇給や昇進の基準を明確にします。
• 教育とトレーニング: 全従業員に対して教育やトレーニングを提供し、スキルアップを支援します。
【結論】
ブラック企業、ホワイト企業、グレー企業、パープル企業それぞれに特徴があり、企業が取るべき対策も異なります。しかし、共通して重要なのは、従業員の健康と満足度を重視し、労働環境の改善に努めることです。企業と従業員が共に成長し、持続可能な未来を築くために、適切な対策を講じることが必要です。
あわせて、雇用される側には、労働環境以前に、そもそも学ぶ姿勢、成長意欲、があるのかを問いたいところです。
人手不足の世の中ではありますが、企業がいくら努力を重ねたところで、そもそも、学ぶ姿勢や成長意欲のない人材をそろえても、これから先は意味がないのではないでしょうか。そのような人材でまかなえることは、機械やAIに任せておけばよいのです。雇用される側はそのことを認識していただきたいと個人的に思います。
引用・参照
※10ミニッツTV
ブラックでもホワイトでもない「パープル企業」とは
https://10mtv.jp/pc/column/article.php?column_article_id=3974
※researchmap
https://researchmap.jp/kanamadaisuke
この記事の内容はYouTube動画でも配信しています。