なぜ黒字倒産は起きるのか?
黒字倒産とは、企業が表面的には黒字で利益が出ているにもかかわらず、実際には資金繰りが悪化し、倒産に至る現象を指します。
資金繰りの悪化とは、ズバリ、キャッシュの不足です。
では黒字なのに、なぜ、キャッシュが不足するのでしょうか。
それは経営者が損益計算書にだけ見を向け、バランスシートを見ていないからです。
例えば、
資本金1,000万円、借入金5,000万円で事業を始めた会社が
年間の売上が1億、原価が4000万、販売費および一般管理費が4000万、支払利息が45万だったとします。
この会社の経常利益は、19,550,000円です。
では、バランスシートはどうでしょうか。
製品を作るための機械を5,000万円で購入。
来年の製品のデザインを発注するのに、年間契約の500万を前払い。
売掛金の回収期日が決算月の翌々月になっているものが3000万。
買掛金の支払い期日が決算期の翌月で2000万。
借入金の元金返済が年間1,000万。
とすると、
当初の現金6,000万と、売上金1億のうち、回収済みの7,000万を足して、1億3000万の現金が手元に入ってきたお金です。
ここから、すでに支払われた金額を引くと、
1億3000万、マイナス、支払い済みの原価2,000万、販売費および一般管理費4,000万、機械5,000万、前払金500万、元金返済1,000万、イコール、キャッシュ残高500万となります。
売掛金の3000万の入金は翌々月で、翌月の買掛金の支払いが2,000万なので、支払えるお金がなく、倒産の危機となります。
では、なぜこのような事態になったのでしょうか。その原因は次のとおりです。
1.過剰投資。
借入金をすべて設備投資に回してしまったため、操業当初から運転資金が不足し、自転車操業となっている。
投資金額に対する回収効率が悪い。
2.借入金返済期間の設定誤り
借入金で購入した設備の投資回収率に対して、借入金の返済期間が短い。
3.過剰な前払金
次の年で使用する費用に対して、今期に支払ってしまっている。
4.売掛金の回収遅れ
期末の大口の売上で、支払いは2カ月後でとお願いをされ、それを受けてしまった。
以上のようなことが原因で黒字倒産が起きてしまいます。
経営を維持するには、何よりも手元のキャッシュが大切です。
PLだけに目をやらず、手元に現預金がいくらあるのか、また、2カ月先までの入金と支払はどうなるかを日々追っていくことが重要です。
この記事の内容は、YouTube動画でも配信しています。